「自社のロゴは存在するが、発信するメッセージに一貫性がない気がする」「ロゴのデザインは気に入っているが、自社の『らしさ』を伝えきれているだろうか」… 会社の顔としてロゴを作成したものの、その力を最大限に活かしきれていないと感じる経営者は少なくありません。それは、ロゴという「点」のデザインに留まり、ブランド全体を貫く「線」や「面」の戦略が描けていないからかもしれません。
優れたロゴは、確かにビジネスの強力な象徴となります。しかし、ロゴはブランドという壮大な物語を語るための、いわば「表紙」に過ぎません。その表紙に確固たる意味を与え、ページをめくるごとに一貫した物語を紡ぎ出すのが、CI(コーポレート・アイデンティティ)(※1)という設計思想です。
この記事では、ブランドの根幹を成すCIとロゴの切っても切れない関係性を解き明かし、あなたの会社の価値を社会に正しく、力強く伝えていくための本質的なアプローチを解説します。
ロゴだけでは「ブランド」にならない理由
なぜ、ロゴだけでは不十分なのでしょうか。それは、そのロゴが「何を象徴しているのか」という共通認識が、社内外で共有されていないからです。言わば、立派な国旗を掲げながら、その国の憲法や文化が定まっていない状態に似ています。その旗が何を意味し、どこへ導くのかが不明確では、人々の心を一つに束ねることはできません。
CIなきロゴが陥る3つの罠
- デザインの判断基準が曖昧になる
Webサイト、名刺、広告など、新たな制作物が発生するたびに「ロゴと合っているか」という表面的な判断に終始し、デザインの方向性がブレてしまいます。結果として、顧客とのタッチポイントごとに印象が散漫になります。 - メッセージが表層的になる
ロゴの造形的な美しさや格好良さのみが先行し、その背景にある企業の理念や哲学が伝わりません。顧客には「何をしている会社か」は伝わっても、「なぜ、それをしているのか」という共感や信頼の領域まで届きません。 - 社内の意思統一が図れない
自社が何者であるかの定義が曖昧なため、社員一人ひとりの会社に対する認識にズレが生じます。それは行動やサービスの質のバラつきとなって現れ、組織としての総合力を削いでしまう要因となり得ます。
ロゴはあくまで、企業のアイデンティティを視覚的に要約した「最終成果物」です。その手前に、確固たる思想や哲学が存在して初めて、ロゴは真の力を発揮するのです。
ブランドの羅針盤となるCI(コーポレート・アイデンティティ)
では、その思想や哲学をどのように形作ればよいのでしょうか。その答えが、CIの構築です。CIは大きく3つの要素で構成されており、この3つが有機的に連携することで、ブランドは揺ぎないものになります。
CIを構成する3つの要素
- マインド・アイデンティティ(MI)(※2)
企業の「精神」や「思想」を定義する、最も根幹となる要素です。企業の存在意義、ビジョン、行動指針などを言語化します。全ての企業活動の拠り所となる、いわばブランドの「憲法」です。 - ビジュアル・アイデンティティ(VI)(※3)
MIを視覚的に表現する要素です。ロゴマークはこのVIの中核をなす最も重要なパーツですが、それ以外にも、コーポレートカラー、指定書体、写真のトーン&マナーなど、企業のビジュアル表現全てを規定します。 - ビヘイビア・アイデンティティ(BI)(※4)
MIを「行動」として示す要素です。社員の行動規範、顧客への対応、社会貢献活動など、企業のあらゆる振る舞いが含まれます。理念が実際の行動に現れることで、ブランドへの信頼が醸成されます。
この流れを見れば、ロゴ(VIの中核)がいかにCI全体の、特にMI(思想)と密接に結びついているかがお分かりいただけるでしょう。MIという魂があって初めて、VIという身体が形作られ、その顔としてロゴが輝くのです。この順番こそが、ブレないブランドを構築する唯一の道筋です。
最後に:まず、自社の「物語」を定義することから
もし今、自社のロゴやクリエイティブに一貫性がないと感じていても、決して悲観する必要はありません。それは、自社の「あるべき姿」を見つめ直し、ブランドを再構築する絶好の機会です。表面的なデザインを修正するのではなく、その根底にある企業の物語、すなわちCIを定義することから始めてみてはいかがでしょうか。
私たちVIVIBONDは、単に美しいロゴやWebサイトを制作するだけではありません。お客様が大切にしてきた想いや未来のビジョンを言語化し、それを社会に伝わる「形」へと昇華させる戦略的パートナーです。CIの策定からロゴやWebサイトへの展開まで、一貫したブランド体験の構築を伴走支援します。あなたの会社の価値が、一つの力強い物語として社会に響き渡る、その日まで。ぜひ一度、あなたの企業の物語をお聞かせください。
【注釈】
※1 コーポレート・アイデンティティ(CI): 企業の理念や特性を体系的に整理し、ロゴや統一されたデザイン、行動指針などを通して、社内外にその存在価値を明確に示していく企業戦略のこと。
※2 マインド・アイデンティティ(MI): 企業理念、ビジョン、ミッションなど、企業の「考え方」や「精神」を言語化し、統一する要素。CIの根幹を成す。
※3 ビジュアル・アイデンティティ(VI): MIを視覚的に表現する要素の総称。ロゴマークやシンボル、コーポレートカラー、指定書体などが含まれ、デザインの一貫性を保つ役割を担う。
※4 ビヘイビア・アイデンティティ(BI): 企業理念に基づいた「行動」の指針。従業員の行動規範や接客マニュアル、社会貢献活動などが含まれる。